家具製作あれこれ ~金物~
家具製作の世界に入って驚いたことの一つに、「金物」があります。
何に驚いたって、その種類の豊富さです。
皆さんが想像する「金物」と言ったら、
・扉の取手
・蝶番(扉と、家具本体をつなぐ金物)
・ロッカーの鍵
などでしょうか。
見えないところでは、家具の結合部分に使われるビス(ねじ)や、ボルト、家具を床に固定する際に使用するLアングルやアンカーと呼ばれるものや、引き出しの開閉をスムーズにするためのレールなど、数えだしたらキリがありません。
しかもほとんどの金具は、家具のサイズや重さ、取付位置、細かな用途に合わせてそれぞれ微妙に形状や耐久性などが変わってくるんです。
某金物メーカーさんのカタログ、その中で、「蝶番」(扉と家具本体をつなぐ金物)を掲載しているページ、どのくらいあると思いますか?
何と・・・
200ページ以上もあるんです!
しかも、1ページに数種類の丁番を掲載している状態で200ページ以上です。そしてさらに、そんな金物メーカーさんがいくつもあるんです。
さすがに丁番は、これだけあるとほとんどの場合何かしらぴったりくる金物が見つかります。
ちなみに家具業界で有名な金物屋さんの一つに、スガツネ工業(LAMP)さんがあります。
こちらのメーカーさんは、国産であることや、使い方を動画で説明することで使用したことのない
金物でも安心して使えるよう工夫されています。
他のメーカーさんもそれぞれ特徴があり、毎回どれを家具に合わせようか、迷ってしまうほどです。
そんな、ありとあらゆるニーズに応えてくれる金物ですが、オーダー家具製作の過程で
適した金物がない場合も。そんな時には、家具同様特別に製作してもらいます。いわば、「オーダー金物」です。
オーダー家具、注文家具は、そのどれもが世界でたった一つの家具です。
金物も、形状・重さ・扉の厚み等々・・・・全てを考慮して、一番ぴったり、しっくり来る物を使用し、最高の家具を作り上げます。
って、書いているだけでわくわくしてきました。工場では毎日やっていることなんですけれどね^^
橋本木工では、外部の設計士さんから図面を頂き、それに基づき家具を製作することもあります。特に指定がなければ、経験上最適と考えられる金物を選択します。しかし、まれに見えない部分に使用する金物でさえも○○メーカーの○○を使用してください!などと指定が入ることがあります。
以前、そういった指定が入った時にこの部分に使う場合、それよりもこちらの方が性能的にも価格的にもお勧めですとお伝えしたところ、設計士さんからは「こちらの方が開閉時の音が好み」という回答が帰ってきました。
音といっても、日常生活で使用する分には聞こえるか聞こえないか程度なのですが、そんなちょっとしたこだわりにも応えてしまうほど種類が豊富な金物。橋本木工の理念とする、「どこまでも美しく丈夫な家具」を支えてくれる力強いアイテムです。